WORKS施工事例詳細
広島形成外科しずくクリニック
2026.07.24
本計画は、広島市駅前のオフィスビル5階という、都市の中に既に存在する一室を、「粉瘤・皮膚のできもの」を専門とするクリニックへと転換する試みである。新築によって環境をつくるのではなく、既存建築の条件を読み解き、その制約そのものを空間の質へと転換することを設計の出発点とした。
医療空間には、清潔さ、機能性、効率性が不可欠である。一方で、それらを過度に前面化すると、患者に「治療される場所」としての緊張を与えてしまう。本計画では、医療施設に特有の無機質な表情を極力抑え、光、素材、スケール、視線の抜けと遮蔽によって、身体と心理の双方に穏やかに作用する空間を構成した。
受付から待合、診療、処置へと連続する動線には、明確な機能分節を与えながらも、素材や色調を連続させることで、一連の「場」としてのまとまりをつくっている。白を基調とした空間に木質の要素を差し込み、曲線を持つ受付カウンターや柔らかな照明によって、制度的な医療空間に人の居場所としての尺度を与えた。
ここで目指したのは、医療を隠すことでも、医療らしさを演出することでもない。必要な機能を静かに成立させながら、患者が自らの身体と向き合う時間を受け止める「余白」を建築としてつくることである。既存ビルの一室という限定された条件の中で、機能の効率と人の感覚を対立させず、都市の中に小さな安心の風景をつくること。それが本計画の目指した建築である。
| 所在地 | 広島県広島市 |
|---|---|
| 用途 | クリニック |
| 構造 | リノベーション |
| 施工 | 有限会社宮内工建 |
| 竣工 | 2026年 |
| 撮影 | 北恵けんじ |
| 設計 | TAo一級建築士事務所 |
